全部、俺のものになるまで
「初めてだから、無茶しない。」

優しく、でもどこか切実な声だった。

「うん……」

そう頷くと、湊の唇がそっと私の唇に触れた。

一度目は静かに。

二度目は、少し深く。

そして三度目には、気持ちが混じり合っていた。

唇が離れたかと思うと、湊の手がゆっくりと、私の鎖骨へと滑っていく。

その指先が、私の肌に触れた瞬間――

「ふぅ……」

思わず小さな吐息が漏れる。

ただ触れられただけなのに、身体の奥がざわめいた。

こんな感覚、初めてだった。

湊が、私の頬にキスを落とす。

それから首筋、鎖骨――

一つ一つ、丁寧に、確かめるように。

「奈々……可愛い……」

耳元でそう囁かれたとたん、胸がきゅんと鳴った。

私はただ、湊に身を委ねた。

好きな人に触れられる安心感と、これから始まる未知の甘さに――

静かに震えながらも、心の奥で確かに、「幸せだ」と思っていた。
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