全部、俺のものになるまで
どこか遠くを見るような瞳。濡れた髪から水滴が落ちて、頬を伝う。

ああ、湊ってやっぱり……大人なんだ。

でも、その眼差しは、まっすぐに私を見ていた。

過去を隠さずに話す湊が、私はやっぱり好きだった。

「そっか……ありがとう、教えてくれて。」

そう言った私の声は、小さく震えていたけれど、心は不思議と落ち着いていた。

湊が、静かに私の手を握った。

その温もりに、私は自然と微笑んだ。

「でも、好きな女とするのは、初めて。」

湊の瞳が、まっすぐに私を見つめていた。

言葉以上に、その眼差しが真剣で――心を撃ち抜かれる。

「それって……私?」

思わず聞き返すと、湊は小さく頷いた。

「うん。」

それだけで、胸が熱くなった。

堪えきれずに、私は湊の首に腕を回して抱きついた。

「湊のものにして……」

小さく囁いた私の言葉に、湊の腕がぎゅっと背中を抱き返してくれる。
< 76 / 105 >

この作品をシェア

pagetop