全部、俺のものになるまで
そして、社長は静かに社長室のドアへ向かい──カチリと鍵をかけた。

「……えっ」

扉越しに、外の世界との繋がりが断たれた音がした。

「もう一度、君を抱く」

その一言に、胸がきゅうっと締め付けられる。

「社長、落ち着いてください……っ」

そう言う声すら、震えていた。

「落ち着けない。君が、こんな近くにいるのに……」

次の瞬間、ガバッと腕を引かれ、ソファへと押し倒された。

「この身体……俺は全部、知っているんだろう?」

息が止まるような熱が肌に迫る。

抗えない。

彼の手が、シャツのボタンを容赦なく剥がしていく。

布地が弾ける音が、生々しく響いた。

「……俺の体も、君が知ってる」

囁かれた声に、喉の奥が詰まる。

触れられるたび、忘れていた感覚が呼び戻されていく。
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