全部、俺のものになるまで
あの夜、狂おしいほどに貪られた快感。

肌が、覚えている。

社長の手が、唇が、どこに触れれば自分が壊れるのかを──

「いや……っ、社長……」

抵抗の言葉は弱く、声にならない。

もう、すべてが始まってしまっていた。

最後の一枚──スカートが剥がされ、私は社長と一緒に、裸になっていた。

熱を帯びた視線が、私の体を舐めるように這う。

「ああ……ここから蜜がとろけている」

彼の声が低く濡れて、息がかかるだけで痺れた。

舌が、私の入り口に触れた瞬間──

「はあん……っ」

思わず、社長の頭を掴んでいた。

やめてほしいのに、もっと欲しい。

矛盾した感情が波のように押し寄せてくる。

「ダメぇ……そんな、そこ……」

「悦んでるだろ。……君の腰、自分で動かしてる」

そう、私の体はもう彼を拒めない。

理性より、快楽が優ってしまっていた。
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