全部、俺のものになるまで
それでも時折、私は母の部屋をそっと開けては、その中に残された温もりを探していた。

タンスの上に飾られた写真立て。

そこには、母と和臣さんと、私の三人が並んで笑っていた。

明るい日差しの中で、母は優しく微笑んでいる。

「お母さん……」

写真を胸に抱きながら、目を閉じる。

声に出すと、どうしようもなく会いたくなった。涙が、またひと粒こぼれた。

その時だった。

カチリと音を立てて、ドアが開く。

振り返る前に、後ろからそっと腕が回される。

「心音は、いつもここにいるね。」

耳元で囁かれる低い声。和臣さんだった。

「心音は本当に、お母さんが好きだったんだね。」

「うん……」

私は頷きながら、彼の腕の中で目を閉じた。

温もりが、恋しかった。哀しみと安らぎが、同時に胸に満ちていく。

このまま、泣いてもいいですか。

そんな問いを飲み込んだまま、私は彼にそっと身を委ねていた。
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