全部、俺のものになるまで
「心音、それ胸元開きすぎ。」

突然、和臣さんが私のタンクトップの胸元をそっと引っ張った。

「きゃああっ!」

思わず声を上げて、慌ててバスタオルを胸に押し当てる。顔が一気に熱くなるのが分かった。

「……なんだ、彼氏でもできたか?」

和臣さんはわざとらしく目をそらして言った。

私は小さく首を振った。「いないよ。」

「でも、好きな人くらいは……いるんだろう?」

何気ないように聞こえたその言葉に、私は彼を見上げてしまった。

視線が合った瞬間、胸がドキンと高鳴る。

──言いたい。

この人が好きだって、ずっと前から。

母がいたから言えなかったけど、本当は――。

「心音、そんな目で見るな。」

和臣さんが視線を逸らし、すっと立ち上がろうとする。

私は咄嗟に彼の腕を掴んだ。

「行かないで……」

そして、衝動のまま彼を後ろから抱きしめた。

「……和臣さんが、好き。」

ようやく出たその言葉に、私の体は小さく震えていた。
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