全部、俺のものになるまで
「いいの? 俺で。」

耳元で低く囁かれるその声に、体がびくりと震える。

「ん?」

戸惑うように聞き返すと、和臣さんの瞳がまっすぐに私を見つめていた。

「俺が……初めての男でいいのかって、聞いてる。」

優しく、でも真剣な声音。

私は、ゆっくりと微笑んだ。

「和臣さん以外、考えられないよ。」

心からの言葉だった。

その瞬間、和臣さんの瞳に何かが灯る。

そして私の身体をそっと抱き上げてくれた。

「ベッドに行く?」

「うん……」

彼の腕の中は温かくて、どこか懐かしくて、安心できた。

まるでずっと前から、こうして運ばれる未来が決まっていたかのよう。

寝室のドアが開き、柔らかなシーツの香りが漂う。

和臣さんは私をそっとベッドの上に置いた。

まるで壊れ物を扱うように、大切に、大切に。
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