かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜
「父と兄二人でよく議論をしてましたよ。親父は自分の子どもも納得させられないようでは、まして会社を背負えるわけがないという考えでしたから。社会とは、世界とは、その中で自分の果たすべき役割とは等々、食卓で論じるんです。
僕は風はどこから吹いてくるのかとか、そんなことに疑問をもつ子どもだったので、ちょっと変わってると言われてましたね」
レベルの高い家庭だ。
「親父は『人は石垣 人は城 情けは味方 仇は敵なり』という格言が好きで、なにかと引き合いに出してました。戦国武将の誰かの言葉だったか…」
「武田信玄でしたっけ」
スマホを取り出して検索しようとするその手が、やんわりと包まれた。
やめましょうと、スマホごとわたしの手を握って彼は言う。じんわりと熱をもった手のひらだ。
「今は二人で会話をしてるんです。スマホとじゃなくてね」
あ、そうですね、とかなんとかもごもごつぶやきながら、彼の手をほどいてスマホをバッグに戻した。
たぶんぎこちない表情をしているはずだ。
僕は風はどこから吹いてくるのかとか、そんなことに疑問をもつ子どもだったので、ちょっと変わってると言われてましたね」
レベルの高い家庭だ。
「親父は『人は石垣 人は城 情けは味方 仇は敵なり』という格言が好きで、なにかと引き合いに出してました。戦国武将の誰かの言葉だったか…」
「武田信玄でしたっけ」
スマホを取り出して検索しようとするその手が、やんわりと包まれた。
やめましょうと、スマホごとわたしの手を握って彼は言う。じんわりと熱をもった手のひらだ。
「今は二人で会話をしてるんです。スマホとじゃなくてね」
あ、そうですね、とかなんとかもごもごつぶやきながら、彼の手をほどいてスマホをバッグに戻した。
たぶんぎこちない表情をしているはずだ。