かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜
「———櫂の匂いがする」
低い声だ。
反射的に身がすくむ。
「あいつは女性には浮気がちだが、オーデコロンは浮気をしない」
「あのっ、並んで歩いたりしたから…それで…」
わたしの言葉を遮るように透さんがわたしを抱き寄せて、腕の中に閉じこめられる。彼の表情はうかがえない。
「透さん…」
何もないのだと、やましいことは何もしていないと説明したほうがいいのか…
「油断した」
耳元に言葉を落とされる。
「油断?」
「寂しそうな兄嫁なんて、櫂が一番興味を持ちそうなものを」
「わたし、だからっ、何も…」
わかってるよ、言いながらぽんぽんと優しく背中をタップされる。
わたしの両肩に手を乗せてゆっくり身体を離す。彼を見上げて、ようやく視線が合わさった。
「何か誘われるようなことを櫂に言われたか?」
声に詰問する色はない。透さんはあくまで落ち着いていた。
「カフェでお茶をしただけなの。ただ話しているうちに…」
今日の出来事をできるだけ正確に透さんに話した。
なりゆきで手を握られたので香りが移ったのではないかとわたしが述べると「わざとだ」と一蹴された。
低い声だ。
反射的に身がすくむ。
「あいつは女性には浮気がちだが、オーデコロンは浮気をしない」
「あのっ、並んで歩いたりしたから…それで…」
わたしの言葉を遮るように透さんがわたしを抱き寄せて、腕の中に閉じこめられる。彼の表情はうかがえない。
「透さん…」
何もないのだと、やましいことは何もしていないと説明したほうがいいのか…
「油断した」
耳元に言葉を落とされる。
「油断?」
「寂しそうな兄嫁なんて、櫂が一番興味を持ちそうなものを」
「わたし、だからっ、何も…」
わかってるよ、言いながらぽんぽんと優しく背中をタップされる。
わたしの両肩に手を乗せてゆっくり身体を離す。彼を見上げて、ようやく視線が合わさった。
「何か誘われるようなことを櫂に言われたか?」
声に詰問する色はない。透さんはあくまで落ち着いていた。
「カフェでお茶をしただけなの。ただ話しているうちに…」
今日の出来事をできるだけ正確に透さんに話した。
なりゆきで手を握られたので香りが移ったのではないかとわたしが述べると「わざとだ」と一蹴された。