かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜
ノーマンはおそらく各方面への連絡や調整に追われているだろう。
入れ替わり立ち替わり連絡をするのはやめて、スタジオのメンバーでグループアカウントを作った。
連絡や情報のシェアはここに集約することにする。

【できることがあれば教えてください。喜んでお手伝いします。皆があなたの一日も早い回復を願っています】とひとまずメッセージを送った。

その晩、わたしは帰宅した透さんにことのあらましを伝えて相談してみた。
聞いているうちに彼の表情は険しくなる。仕事の難しい局面に向き合っているときのように。

厳しいだろうな。
透さんの口からまず出たのはその一言だった。

たとえば内臓系の疾患であれば手術前後の入院だけで済むことが多い。だが日常生活が困難なレベルの外傷は長期入院を余儀なくされる。
一般的な病院であっても、入院費用はマンハッタン市内の高級ホテルの宿泊費並だ。そこからどれだけ払い戻しが受けられるかは、加入している保険による。
自宅療養に移っても、しばらくは通いの看護師やヘルパーを頼まなければならないだろう。
もちろん定期的にリハビリに通う必要もある。

…といったことを冷静に述べたあと「必要なら、うちの会社の財務部に話を持っていく。ある程度の額なら無利子で貸してくれるようはからおう」と締めくくった。
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