かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜
「両親がいくら言っても、一生結婚しないんじゃないかと思ってたから。桜帆さんには家族一同感謝してるんです」

それなのに、『惚れそう』だのなんだの、波風立てるようなことを言ってくるんだから、もう。
気まぐれな美しい猫のようで、なんだかんだ憎めない義弟だ。

「…背伸びしてもしょうがないから、自分にできることをやろうって。今はそんな感じなんです」
透さんと夫婦として愛情を育むことも。国際都市の一員として生活することも。

「それが口先だけじゃないのが、桜帆さんのいいとこでしょう」

いいとこ…
この街にいると、透さんや櫂さんだけでなく、多才多芸な人が珍しくないので、わたしなんてなぁと正直ピンとこない。

「僕も参加しますよ。そのトモミさんのサポートチーム、ってやつ」
さらりと言う。

「えっ、いいんですか?」
これにはびっくりしてしまった。櫂さんにとっては一面識もない相手なのに。

「兄貴みたいに滅茶苦茶に忙しいってわけじゃないので。助け合いは大事です。自分のことだけ考えていたら、社会は成り立たない」

やっぱりわたしはまだまだだ。
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