かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜
たどたどしい手つきで画面をクリックするわたしを、頬杖をついて眺めている。

「それにしても、透(にい)もずいぶん変わったなあ」

「変わった?」
sticky note? えーと、付箋のことか…タブレットをいじりながらなので、ややおざなりな返事になってしまった。

「うん、なんの前触れもなく結婚したと思ったら、気づいたらしっかり愛妻家になってて」

「愛妻家だなんて…」
手が止まってしまう。顔に熱が集まるのが分かる。そんな動揺させるようなことを言わないでほしい。

「あのカタブツがねえ。女性なんて眼中にないって感じだったのに」

「そうだったんですか?」
さぞかしモテただろうに。

「僕が多情なら、兄貴は無情で。興味がなかったんですよ。お袋は、あなたと透を足して二で割れたらいいのにってぼやいてましたよ」

息子たちにそう言える母もなかなか肝が据わってるというか。

「自分のキャリアプランのことしか頭になくて。自分の能力を最大限に活かしながら社会に貢献するビジネスを構築うんぬん…って、想像つくでしょう?」

ええ、とうなずく。
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