推しに告白(嘘)されまして。
やはり、華守が圧倒的に強すぎるのだ。
気がつけば、綺麗なフォームで華守はスリーポイントシュートを放ち、当然のようにゴールネットを揺らしていた。
そこから試合は変わらず、拮抗した状況が続いた。
こちらがシュートを決めれば、あちらもシュートを決める。
点差は広がらないどころか、同点になる場面もあり、どちらが勝つのかわからない緊張が続いた。
同点のまま迎えたラスト15秒。
陽平からいいタイミングできたパスを受け取り、まずは1人目を綺麗に抜き去る。
それから目の前に現れたもう1人も抜き去り、俺はフリーになった。
ーーーこれを決めれば、決勝点だ。
残り時間は10秒。
シュートフォームへと入ろうとしたところで、目の前に華守が現れる。
自分と同等かそれ以上の高さの華守を前に、俺は咄嗟に後ろへと飛び、シュートを放つことを選んだ。
フェイダウェイだ。
決められるかどうか。
難しい体勢にそう思ったその時。
「いけ!沢村くん!」
たくさんの人の中から鉄崎さんのわずかな声が耳に入る。
鉄崎さんのことだ。きっとずっと俺を応援してくれていたのだろう。
それが今、やっと俺の耳に入った。
鉄崎さんが応援してくれているのも、見てくれているのも俺だ。
緊張していた腕に力が抜ける。
心も軽くなり、最高の状態で俺はボールを放った。