推しに告白(嘘)されまして。
それでも…それでも、だ。
やはり、鉄崎さんのことが気になって仕方がない。
どうしても彼女の姿が見たい。
ついに痺れを切らして鉄崎さんを盗み見ると、そこにはまっすぐと俺だけを見ている鉄崎さんがいた。
少しだけ紅潮した頬にキラキラと輝く瞳。
楽しげにこちらを見る鉄崎さんに心臓が跳ねる。
…可愛いな。
無邪気にこちらを見る鉄崎さんにふとそんなことを思った。
あんな顔もするのだと、また知らなかった鉄崎さんの一面を知れて、心が軽くなっていく。
先ほどまであんなにも苦しく、重たかった感情が嘘かのようだ。
ーーーー頑張ろう。
そう気持ちを切り替えたところで、ハーフタイム終了のホイッスルがこのコート内に響き渡った。
*****
第三クォーターからの俺は、本来の調子が完全には戻っていないにしても、もうチームの足を引っ張るような存在ではなくなっていた。
俺の前に現れた敵チームの1人にフェイントをかけ、抜けたところで、そのままシュートフォームに入る。
誰にも邪魔されることなく放たれたそれは、綺麗な弧を描いて、吸い込まれるようにゴールへと入っていった。
「ナイシュ!悠里!」
「おう!」
陽平に差し出された手に自身の手を当て、ハイタッチをする。
それからすぐにディフェンスの態勢へと入った。
第三クォーターが終わり、いよいよ最終クォーター。
残り時間3分のところで、点差はわずか三点しかなく、こちらがリードしていたが、どちらが勝ってもおかしくない状況だ。
俺がシュートを決められるようになり、リードされることはなくなったが、それでもなかなか引き離すことはできないでいた。