推しに告白(嘘)されまして。




この教室を担当する進学科の2年の生徒は、私しかいない。
ひっきりなしに現れるプレーヤーたちに、1人で変わらず対応を続けていると、ようやくその人の波が途切れた。
先ほどまで誰かしらいた教室に今は誰もいない。

やっと訪れた休息に、私は息を吐いた。
少しくらい休憩しないと、疲れる。ずっと1人で対応し続けるのは、かなり大変だ。



「…ふぅ」



窓から空を眺め、もう一度息を吐いた。

綺麗な晴天が窓の向こうにいっぱい広がっている。
さらにその下には、たくさんの文化祭を彩る装飾がされており、生徒たちの頑張りが形になっていた。

晴れてよかったな…。



「ねぇ、お姉さん」



窓の外を見ていると、聞き慣れた声が気だるげに、私に話しかけてきた。
この声は…



「お姉さんはここで何してるの?」



声の方へ視線を向けると、そこには千晴が立っていた。
首を傾げて、興味深そうにこちらを見つめる千晴にも、もちろん私は決められたセリフを吐く。



「あの子には好きな人がいた。これを…」

「ふーん。てか、セーラー可愛いね、先輩」

「…どうも」

「ずっと見てたいなぁ」

「…そう」

「先輩、中学の時、どんな制服だったの?見たい」

「…」



…この野郎。

私から紙を受け取った後もなお、全く関係のない話を続ける千晴に表情がどんどん歪んでいく。
私の邪魔でもしにきたのだろうか。
ここまで関係のない話を続けるやつは千晴が初めてだ。
はっきり言って営業妨害だ。




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