推しに告白(嘘)されまして。
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舞台袖には、一年進学科の生徒たちが、舞台前には、たくさんの生徒たちや、外部からのお客さんがいる。
そんなたくさんの人が見守る中、今年、我が校の文化祭の中で、最も注目されている舞台、〝白雪王子〟が始まった。
「昔々、あるところに、雪のように白い肌から、白雪と名付けられた王子様がいました。白雪王子は、それはそれは美しく、見るもの全てを虜にする美貌の持ち主でした」
とんでもなくハードルを上げられたナレーションの中、舞台上へとだるそうに千晴が立つ。
その瞬間、わぁ!と会場が一気に沸いた。
スポットライトを一身に受ける千晴は、どこか気だるげでも、絵になり美しかったのだ。
さらに黙っていれば、絶世の美人だということも味方し、千晴をいつもの〝怖い〟存在として見る観客はいなかった。
「…き、綺麗」
「や、やばい…」
「す、好きぃ」
観客の感嘆の声が、舞台袖にまで聞こえてくる。
その声に舞台袖にいた生徒たちは皆、何故か自分のことのように、誇らしげな顔をしていた。
その中には、「今年の最優秀賞はうちに決まりね」と小さく笑っている生徒までいる。
始まったばかりで、そう確信するのは、いささか早計だとも思うが、注目度、観客のリアクションを見れば、そう言ってしまえるのも頷けた。
その後、舞台白雪王子は、問題なく進んでいった。
そしていよいよ、ラストシーン、お姫様役である、私の出番がやってきた。
「白雪王子が深い眠りについたある日のこと。白雪王子の前に1人の人物が現れたのです」
このナレーションこそが、私が舞台上へと出る合図だ。
この日まで、千晴の練習に付き合ってきたので、流れは完璧に入っている。
だが、まさか自分がお姫様役として、あの注目の中に出ねばならないとは、夢にも思っていなかったので、さすがに緊張した。