推しに告白(嘘)されまして。
いつもの金髪ではなく、ふわふわの黒髪から覗く、綺麗で美しい顔。
スラリとした高身長に、周りの目を引くモデルのようなスタイル。
ただでさえ、精巧な人形のような見た目の千晴が、白と金の王子様服を身にまとうことによって、美しさに磨きがかかり、浮世離れした存在へとなっていた。
私は千晴を見て、何故、急にこの場にいた全員が息を呑んだのか、わかった。
私も気がつけば、周りの生徒たちと同じように千晴に視線を奪われ、息を呑んでいた。
静かに心臓が脈打つ。
何故なのかわからないが、千晴を見ていると、緊張してくる。
千晴におでこへキスされた時と同じような感覚に、私は首を捻った。
今はドキドキするような時ではないのに、この高鳴りは一体なんなのだろう。不整脈?
「お姫様な先輩、やっぱり綺麗だね」
「…いや、綺麗なのはそっちじゃん」
どこか甘い瞳にまっすぐと見つめられて、頬が自然と熱を持つ。
「先輩は綺麗で可愛くて反則だね」
そんな私に千晴はどこか焦がれるようにそう言った。
「やっぱり、お姫様役は鉄子先輩しかいなかったねぇ」
「お似合いすぎてやばい。盗撮したい」
「末長くお幸せに」
私たちの何だかふわふわな空気に、周りの生徒たちがやっとざわざわと静かに騒ぎ出す。
そんな生徒たちを尻目に、私は千晴との距離を詰めた。
「千晴、わかってるね?絶対成功させるよ」
トンッと千晴の胸に握り拳を軽くぶつける。
すると、千晴はその綺麗な瞳を緩めた。
「もちろん、絶対最優秀賞取るからね、先輩」