推しに告白(嘘)されまして。



*****



悠里くんと向かった場所はとあるスーパーだった。
そこで私たちは2人並んで買い物を始めた。
買い物かごは当然、私が…と持とうとしたが、それはスマートに悠里くんに取られた。



「お肉はどれにする?」



かごを持つ悠里くんに聞かれて、精肉コーナーを睨む。



「メインは唐揚げとクリームシチューだから、これかな?値段的にはこっちもいいけど…」



悩みながら指差す先には、値段の違う鶏肉がある。
悩む私の横で、悠里くんは「じゃあ…」と続けた。



「高い方にしちゃう?せっかくだし」



少しだけイタズラっぽく笑う悠里くんはどこか少年のようで、可愛らしい。
あまりにも素敵すぎる推しに、私は今日もやられながら、うんうんと何度も頷いた。
それから高い方のパックを手に取ると、悠里くんが持つかごへと入れた。

悠里くんと私は今日、悠里くんの家でクリスマスパーティーをする。
その準備として今、スーパーで買い物をしていた。
悠里くんの家は今日、誰もいないらしく、心置きなく二人でパーティーができるらしい。
悠里くんのご両親は、旅行に、里緒ちゃんと里奈さんはお出かけに行っているそうだ。

里緒ちゃんと里奈さんに会えないのは少し残念ではあるが、悠里くんと二人で1日過ごせることが、私は楽しみで楽しみでしかたなかった。

クリスマスパーティーに必要なものはもう事前に話していたので、あとは決まっている材料を買うだけだ。
野菜にお肉、フルーツと、どんどん悠里くんと話し合いながら、かごに入れていく過程で私は思った。



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