推しに告白(嘘)されまして。




「…なんか新婚さんみたい」



つい、思ったことが口から出てしまう。
なんと罪深い思考なのか。
もし、こんな妄想が推しに聞かれていたら…。

恐る恐る推しである悠里くんの方を見れば、悠里くんはきょとん、とした顔をしていた。
まさかそんなこと言われるとは微塵も思っていなかった、という表情だ。

しかしその表情はすぐに消え、悠里くんは嬉しそうにはにかんだ。



「…うん。そうだね。柚子は俺の奥さんかぁ」



ズズズズキューン!

本当に嬉しそうにしている悠里くんに、心臓が見事に狙撃される。
推しのサービス精神、恐るべし。
言っていいことと、悪いことがあると、推しは知らないのか。分別がないのか。
私じゃなければ、無事に勘違いして、恋に落ちるところだったぞ。


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