推しに告白(嘘)されまして。
そんなことを思いながらも沢村くんを待つことまだたったの30分。
約束の時間までまだ30分もあるというのに沢村くんはもう集合場所までやって来た。
ダボっとした大きめのデニムパンツに白のTシャツ。
シンプルながらも爽やかで沢村くんの良さを120%引き出しまくっているコーデに心臓が飛び出そうになる。
な、な、何てかっこいいの!
そんなかっこよすぎる沢村くんは、まだ私の存在には全く気づいていない様子で、ゆっくりとこちらに近づいてきた。
もうかっこよすぎて、街中が沢村くんの為のランウェイにしか見えない。
「沢村くん」
「え!鉄崎さん!?」
全く私に気づく気配のない沢村くんにこちらから声をかける。すると沢村くんは心底驚いた表情を浮かべて、私を見た。それから「え、あれ?」と言いながら、スマホの画面をしきりに確認していた。
「…ごめん、鉄崎さん。待たせちゃったみたいだね」
青ざめた表情で申し訳なさそうに私を見る沢村くんに私の中の好感度がぐんぐん上昇していく。
沢村くんは何も悪くない。
相手のことを思い、約束の30分前に集合場所に来る沢村くんは優しい思いやりのある人だ。
しかもどう考えても私が早すぎるだけなのに、待たせたと思い謝ってくるなんて。
どこまでも優しい人なのだろうか。
さすが私の推し!好き!
沢村くんの素晴らしさについメロついてしまう。
「大丈夫。私も今来たところだから」
「本当?」
「本当」
「そっか。ならよかったのかな?」
「よかったんだよ!」
未だに申し訳なさそうにしている沢村くんに私は食い気味にそう言い、笑った。