推しに告白(嘘)されまして。
「照れてる顔も可愛くて好き。俺しか見られない顔だよね」
「〜っ!!!!」
嬉しそうな悠里くんに声にならない悲鳴をあげる。
推しが…、推しが…、尊すぎる…!
一瞬、推しが尊すぎて、意識が飛びそうになったが、私はそこをぐっと堪えて、必死で隣へと手を伸ばした。
そしてそのまま「もう!」と、危険すぎる悠里くんの口を左手で塞いだ。
好き攻撃強制封印だ。
「好きはおしまいです!」
顔を真っ赤にする私に、悠里くんが目を丸くする。
だか、その瞳はすぐに愛おしげにまた細められ、次の瞬間には私の手のひらに、チュッと音を立てて、何か柔らかいものが当てられていた。
何かではない。
…この尊い感触は悠里くんの唇ではないか?
「ひゃあ…っ」
ほんの数秒固まった後、やっと状況を飲み込み、情けない声をあげて、悠里くんの口から左手を離す。
すると、そんな私に悠里くんは満足げに笑い、「やっぱり、可愛い」と言った。
とんでもない。とんでもないぞ、私の推しは。
ラブテロリストだ。私を甘さで殺す気だ。
甘い空気の中、おろおろと狼狽えていると、その声は聞こえた。