推しに告白(嘘)されまして。
「悠里、場所」
呆れたようにそう言ったのは里奈さんだ。
里奈さんは苦笑いを浮かべながら、隣にいる里緒ちゃんの目元を手で覆っていた。
「ねぇ!ねぇ!?何が起きているの!?お兄ちゃん、柚子ちゃんに何したの!?ねぇ!!!!」
里緒ちゃんが里奈さんに目隠しされたまま、興奮気味に両手をバタバタと動かしている。
里奈さんの目隠しのおかげで、里緒ちゃんは状況をよくわかっていないようだったが、知りたくて知りたくて仕方ないようだった。
里奈さんと里緒ちゃんに今のやり取りを見られ、聞かれていたことを知り、私はますます恥ずかしくなる。
…人一人分入れる穴はどこですか。
ちらりと悠里くんを見ると、さすがに悠里くんも気まずそうに「…ごめん」と謝っていた。
そんな中、やっと里奈さんの目隠しから解放された里緒ちゃんは声高らかに言った。
「わたしわかったよ!お兄ちゃんが柚子ちゃんのこと、とぉても、大好きなんだってこと!」
キラキラと輝く里緒ちゃんの瞳には曇り一つなく、無邪気そのものだった。