推しに告白(嘘)されまして。
「鉄子に玉砕大作戦がここまで成功するとはな!」
明るい声は引き続き、楽しげに声を弾ませている。
「今やお前ら2人は誰もが認めるカップルだもんな。ファンたちもお前たちを応援してるし、そのおかげで結果も出たし」
「ウィンターカップベスト8達成はやっぱでかいよなぁ。去年は2回戦敗退だったし。先輩たちも最後は負けたけど、いい顔してたよな」
「鉄子のおかげで悠里が練習に参加できていると言っても過言ではなぁい!」
それから他の部員たちも、その声に応える形で様々なことを口にしていた。
扉の前で私は思った。
これは聞いてはいけない会話だったのではないだろうか、と。
今、ここでこの扉を私が開ければ、気まずさMAXだ。
それどころか〝鉄子に玉砕大作戦〟が本人である私にバレた以上、作戦続行は不可能と判断され、作戦終了のお知らせがくる可能性だって十分にある。
そんな惜しいことしてたまるか。
まだ悠里くんの壁という名の彼女でいたい私は、その場で何とか息を殺して、ゆっくりと後ろへと下がった。
ーーーその時。