推しに告白(嘘)されまして。




ついヘラヘラしたまま千晴を見ると、千晴はどこか面白くなさそうにこちらを見ていた。
…少し語りすぎたようだ。

この話はこれで終わりだ、とライブラリを閉じ、ホーム画面に戻してから、スマホの画面を消す。
すると、暗くなったスマホの画面に一瞬だけ、不満げな千晴が映った。

どうやら面白くないを通り越して、機嫌を損ねてしまったようだ。私の話が長すぎるあまりに。

語りすぎてごめん、千晴。
興味のない話を永遠に聞かされればそうなるよね。

反省し、千晴に謝罪しようとした。
その時。



「…先輩、俺ともデートしよ」

「へ?」



突然、千晴から耳を疑うようなことを言われた。
不満そうだが、どこか真剣な気もする千晴を私はまじまじと見る。

今、デートに誘われた?
まさか。そんなまさかね。
『先輩俺のデートの話も聞いて』とか、そんなことを言ったのだろう。

…だが一応、万が一もあるので聞き直した方がいいだろう。



「もう一回言える?」

「俺ともデートしよ」

「…はぁ?」



無表情だが、どこか焦がれるような視線を私に向ける千晴に表情が引きつる。
聞き間違いではなかったようだ。



「ごめんけど、私はあくまで沢村くんの彼女なので。千晴とデートはできません」



きっぱりとそう千晴に告げると、千晴は黙ったまま視線を落とした。

一体何なんだ。



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