推しに告白(嘘)されまして。
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そうきっぱりと告げたはずなのだが。
次の日の朝、いつものように校門前で委員会活動をしていると、千晴が私の前に現れた。
2枚のチケットを見せながら。
「これ、メルヘンランドのチケット。もらったから一緒に行こ、先輩」
そう淡々と誘ってきた千晴に呆れて苦笑いを浮かべてしまう。
メルヘンランドとは日本でも有数の超大型テーマパークで、老若男女問わず大人気の場所だ。
「いや、私は沢村くんの彼女…」
昨日も同じ理由で断ったはずなのに何故誘う、と思いながらも、何となく千晴の手にあるチケットを見て、私は言葉を止める。
千晴の手にあるチケットが普通のチケットには見えないのだ。
そもそもメルヘンランドのチケットは基本電子チケットで、あまり紙のチケットは見ない。
紙のチケットだから違和感を覚えているだけなのだろうか。
どうしてもこの違和感の正体が気になって、よくチケットを観察する。するとチケットにはVIPという文字が記載されていた。
え、VIP?
「え、えぇぇぇ!?」
千晴の手にある信じられないものに思わず大きな声を出してしまう。
それから私は慌てて自身の口を塞いだ。
いけない!こんなたくさんの生徒の目があるところで取り乱してしまうなんて!
だが、今千晴が手に持っているものは、そうなってしまってもおかしくないものなのだ。
千晴の手にあるメルヘンランドのチケットは、どうやらVIPチケットらしく、本物であれば、なかなか簡単には手に入らない価格帯のものだった。
私の記憶が正しければ、確か10万以上はするものだったはずだ。それをただの高校生の千晴がもらったとは…。
一体どういう関係の人からもらったんだ。
「と、とりあえず、それ、しまって」
千晴の手にあるものの価値に気づき、青ざめながらもそれをしまうように千晴に指示する。
すると、千晴は「はーい」と適当に返事をし、さらに適当に制服のポケットにチケットを入れようとしたので、私は慌てて鞄にしまうように強く言った。