ひとりぼっちの転生幼女でしたが、最愛の家族ができました~実は神子だった私、ハイスペ兄から溺愛されつつ癒しの才能発揮します!~
少し離れた場所から十二番がなにやら叫んでいる。近寄ろうとした彼は、騎士みたいな人たちに止められてしまった。
それでも暴れて近付こうとして、取り押さえられてしまったよ。
誰か十二番を助けてあげてください! 悪い子じゃないんです! そしてなによりも、迷子になってごめんなさい!
思わずイケオジさんから後退りする私に対し、再びお腹に響く渋い声が呼びかけてきた。
「こちらへおいで。大丈夫だ」
「あのこも?」
「もちろんだとも」
よかった。十二番は口が悪いから、騎士っぽい人たちに色々と失礼なことを言ってそう。そして神様みたいなイケオジさんの言葉は、なぜか信用できる気がする。
ぽてぽてと近くに行くと、ふわりと抱き上げられてムチッとした大胸筋にすぽりとハマる。おお、なんという素晴らしき安定感よ。
前世を含めて男性に抱っこされたことがない私は、ちょっとドキドキしながらも温かい上腕二頭筋も堪能させてもらう。ほわぁ、ガチムチだぁ。
「うむ。しっかりと隠れておったか。えらいぞ」
「かくれ?」
「その髪と瞳は本来の色ではなかろう。その服は神殿の子か……では、我が直接向かおう」
本来の色ってなんだろう?
それに、服?と自分の身なりを見れば、白い襟がついたグレーのワンピースが目に入る。
あまり自分の服装に興味がなかったから気付かなかったけど、十二番の脱走が見つかっていたのは服のせいか。この服を着ている子を見かけたら、施設に連絡が入るようになっているのだと思われる。
そして予想はしていたけど、私の初の脱走(ぼうけん)もここまでみたいだね。
ところでイケオジさん、ひとつ聞いてもいいですか?
問いかけようとイケオジさんの顔を見れば、まるで私の心を読んだかのように頭を撫でてくれる。
「どうした幼子よ」
「あなた、だれ?」
「我か? 我はな、人々から『神王』と呼ばれておる者だ」
ジンオウ……神王……神王様?
えええええええーーーっっっ!?