ひとりぼっちの転生幼女でしたが、最愛の家族ができました~実は神子だった私、ハイスペ兄から溺愛されつつ癒しの才能発揮します!~
神子見習いとは?
施設の外観は「ザ・神殿」という感じだった。
ずっと中にいたから気付かなかったよ。なにやら高価そうな大理石っぽい建材で造られているね。
畏れ多くも神王様に抱っこされた私は、前世で見た世界遺産の映像などを思い出していた。
わかりやすく現実逃避をしている私を許してほしい。なぜなら周りの人たちの視線がすごいのだ。刺さるというか、すんごく見られているのを肌で感じるんだよ。目立つことを避けてきた前世含めて初体験ってやつだ。
不機嫌丸出しの十二番は、暴れてはいないものの騎士さんたちが付き添っている状態だ。
私もあっちに行きたい気持ちなのですが……あ、ダメですか。そうですか。
「安心せよ。我が子の友を、悪いようにはせぬ」
「わがこの?」
「うむ」
わがこの、ワガコノ、輪がコノ……脳内でぐるぐると考えている間に、建物の扉から先生たちが飛び出してくる。
中でも、いつも色々と世話をしてくれる先生は、十二番と一緒にいる騎士さんたちを見て一瞬ふらついた後、神王様に抱っこされている私を見て目を大きく見開いた。
「ああ、なんということでしょう……」
「せんせぇ?」
こてりと首を傾げる私の背中を、神王様が優しく撫でてくれる。途端に不安な気持ちはなくなって、ほんわりとした安心感が広がる不思議。
「この子について話がある」
「承知いたしました。こちらへどうぞ……」
先生たちが一斉に祈りの姿勢を取り、神王様を中へ案内していく。もちろん私は抱っこされたままで……。
「おい! そいつを、どこにつれていくんだよ!」
「小僧、無礼だぞっ」
騎士さんのひとりが十二番の腕を掴んでいる。乱暴はダメですよって言おうとしたら、そこは加減してくれているみたい。
騎士さんは素早く十二番のお腹に腕を回し、痛くないようにしてくれている。優しい騎士さんたち、ありがとう。
「ふむ。なかなかいい気概を持っておるな」
「くそっ、はなせよっ!」
「守りたいのならば、力をつけよ」
「くっ……!」
神王様の穏やかな口調の中に、なぜか逆らえないような圧を感じる。ずっと騒いでいた十二番は押し黙ってしまった。