ひとりぼっちの転生幼女でしたが、最愛の家族ができました~実は神子だった私、ハイスペ兄から溺愛されつつ癒しの才能発揮します!~




 目を開ければ、いつもの天井。

 周りからはたくさんの小さな息づかいを感じる。遠くのベッドで寝ているやんちゃな十二番の「もうたべられないよー」というお約束な寝言が聞こえてくる。
 お約束? なんの約束だったっけ?
 寝坊はしていない。だって今日は仕事も学校も休みで、なにも用事はなくて……。

「しごと? がっこう?」

 幼く愛らしい声に驚いてしまう。でも、これが自分の声だと頭の中では理解している。
 今の私は施設で三番と呼ばれていて、そろそろ養子に出してもいいだろうと言われている親のいない幼(おさな)子(ご)だ。
 それなのに、頭の中で誰かが叫んでいる気がする。

「てんせい……いせかい……」

 よくわからない言葉が頭の中から溢れてきそうで、勢いよく起き上がった私は洗面所へと向かった。

 この施設では数十人ほど、幼い子どもたちが預けられている。
 多くは事故や病気で親を失ったというのが理由だ。それと、迷子になっていたら誰も迎えに来なくて、気付けばここでお世話になっていた、などという事例もある。どんな理由かは知らないけど、無責任な親はどの世界にもいるようだ。

 ちなみに、施設に入れば衣食住が確約されるのはもちろんのこと、将来どこへ行っても大丈夫なよう、教育も熱心に行われている。
 昨日まではなにも思わなかったけど、今なら理解できる。

「めぐまれて、いる?」

 施設はとても広くて、石造りの大きな建物だ。大人たちの服装や、部屋にある家具や寝具、食事の時に使う食器などを思い出すと……明らかに高級品、だと思う。たぶん。

 なぜかほんわり暖かく感じる廊下を裸足でペタペタ歩いていくと、見慣れた洗面所へと辿り着く。
 幼い子でも使いやすいよう、低く設置されている水道の蛇口をひねり、異世界にしては文化レベルが高いなどという考えが浮かんでくる。

 顔を洗い、横に置いてあるタオルで拭いたらスッキリ爽快。ふと目の前にある鏡を見れば、灰色の髪にくりっとした薄茶色の目をした三、四歳くらいの幼女が映っている。
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