野いちご源氏物語 三一 真木柱(まきばしら)
右大将様のお手つきの女房ふたりは複雑な思いをこぼしあう。
ご正妻付きの女房の方は出ていくけれど、右大将様付きの女房はお屋敷に残るの。
「あなたは右大将様にかわいがられつづけるのですね。奥様はお屋敷を出ていかれるというのに。こんなふうにあなたとお別れするなんて思ってもみませんでした」
ご正妻付きとしては皮肉を言いたくなるけれど、同じお手つきの立場としての友情もある。
「私だっていつまでここにいられるか」
不安定な立場を慰めあってきた仲なのでしょうね、泣きながら言う。
乗り物に乗って出ていくときも、お屋敷をふり返っては心細くなる。
ご正妻もまた、乗り物のなかからお庭の木の枝先をじっとご覧になっている。
右大将様に未練がおありなわけではない。
長年お住みになったお屋敷を去ることがおつらいの。
ご正妻付きの女房の方は出ていくけれど、右大将様付きの女房はお屋敷に残るの。
「あなたは右大将様にかわいがられつづけるのですね。奥様はお屋敷を出ていかれるというのに。こんなふうにあなたとお別れするなんて思ってもみませんでした」
ご正妻付きとしては皮肉を言いたくなるけれど、同じお手つきの立場としての友情もある。
「私だっていつまでここにいられるか」
不安定な立場を慰めあってきた仲なのでしょうね、泣きながら言う。
乗り物に乗って出ていくときも、お屋敷をふり返っては心細くなる。
ご正妻もまた、乗り物のなかからお庭の木の枝先をじっとご覧になっている。
右大将様に未練がおありなわけではない。
長年お住みになったお屋敷を去ることがおつらいの。