一年だけの契約妻で、ほぼ放置されていたのに
ベッドから出てみる。少し怠さは残るものの立ってもふらつきはない。この分だと熱が下がっているはず。
廊下からドアの開閉音がした。私はスリッパを履いて部屋の扉を開けてみる。顔を覗かせたら、鷹士さんが洗面所から出てきたところだった。
「おはようございます」
「おはようございます。昨日はご迷惑をおかけしました」
「いいえ、自分も同居人が苦しんでいるのを見捨てられるほどの冷徹人間ではなかったようなので」
先日私が言った言葉を返されて苦笑する。もちろん、彼を冷静とは思えど、冷徹と思ったことはない。ただ自分が見せた失態が気恥ずかしかった。
「熱計りましょう」
「はい」
熱は下がっていると思うので素直に従う。リビングにいって体温を計れば、三十七度まで下がっていた。私の平熱が高めなので、本当に一晩で下がった。
「今日は仕事は?」
「休みです」
「じゃあ、念のため今日一日ゆっくり休んで。病院にかかるならタクシーを呼んでください。必要なものはコンシェルジュに言えば買って持ってきてくれます」
コンシェルジュをわざわざ使わなくても自分で買い物ぐらい行けそうだと思っていたら、それが顔に出ていたのか「外出は控えてくださいね」と静かに釘を打たれた。私に関心はないだろうに、本当に目聡い。
「じゃあ、私はこれで」
「あ、いってらっしゃい」
自然とそう言ったら、踵を返しかけた鷹士さんが止まる。そして、ぎこちなく少しだけ振り向いて
「……いってきます」
と小さく呟いた。
慣れないことをして気恥ずかしい感じが残る表情で。どこか雰囲気も角が取れた気がする。なんだかあたたかな気分になって私はもう一回「いってらっしゃい」と笑顔で言った。
廊下からドアの開閉音がした。私はスリッパを履いて部屋の扉を開けてみる。顔を覗かせたら、鷹士さんが洗面所から出てきたところだった。
「おはようございます」
「おはようございます。昨日はご迷惑をおかけしました」
「いいえ、自分も同居人が苦しんでいるのを見捨てられるほどの冷徹人間ではなかったようなので」
先日私が言った言葉を返されて苦笑する。もちろん、彼を冷静とは思えど、冷徹と思ったことはない。ただ自分が見せた失態が気恥ずかしかった。
「熱計りましょう」
「はい」
熱は下がっていると思うので素直に従う。リビングにいって体温を計れば、三十七度まで下がっていた。私の平熱が高めなので、本当に一晩で下がった。
「今日は仕事は?」
「休みです」
「じゃあ、念のため今日一日ゆっくり休んで。病院にかかるならタクシーを呼んでください。必要なものはコンシェルジュに言えば買って持ってきてくれます」
コンシェルジュをわざわざ使わなくても自分で買い物ぐらい行けそうだと思っていたら、それが顔に出ていたのか「外出は控えてくださいね」と静かに釘を打たれた。私に関心はないだろうに、本当に目聡い。
「じゃあ、私はこれで」
「あ、いってらっしゃい」
自然とそう言ったら、踵を返しかけた鷹士さんが止まる。そして、ぎこちなく少しだけ振り向いて
「……いってきます」
と小さく呟いた。
慣れないことをして気恥ずかしい感じが残る表情で。どこか雰囲気も角が取れた気がする。なんだかあたたかな気分になって私はもう一回「いってらっしゃい」と笑顔で言った。