彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「いいえ。日奈さんはあの時も謝ってくれましたよね。玲さんとのことも記事は事実じゃないけど、よりを戻したいだけだと教えてくれました。別れたのは私の問題だったんです。日奈さんがいい人だったので、うまくいくといいなと思って身を引きました」

「ちょっと……あなたって本当にいい子ね」

「俺がフラれて必死だった理由もこれでわかっただろう」

「二度とあんな怖い玲は見たくない。近いうち結婚会見をするから、あの時のことを聞かれたらきちんと否定しておくわね。安心して頂戴」

「頼んだぞ。あ、聞かれなければ余計なことは言うなよ。琴乃のことは黙っておけ」

「わかってるわよ。今日彼女を連れてきたのはマスコミ対策のため?」

「まあな。でもこんなドレスアップした琴乃をエスコートできたし、大満足だ」

 玲さんが私を抱き寄せた。

「あら、じゃあ私に感謝しなさいな」

「ふざけるな」

 茶目っ気のある笑顔。日奈さんは頭のいい人だ。やっぱり、玲さんとお似合いだったかもしれないと今も思う。

「日奈さん。ご活躍とお幸せを祈ってます」

「ありがとう。じゃあね、おふたりさん。あなたたちもお幸せに」

「ああ、ありがとう。お前もな」
< 127 / 131 >

この作品をシェア

pagetop