彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「琴乃ちゃん、あなたも綺麗になったわね。弟君は元気?」

「はい、あの子はとても元気です。バスケットに夢中でそういう高校へ進学も決まりました」

「そう。留美に聞いたけどひとりで弟さんを育てながらお母さんの看病もしていたそうね。仕事はお父さんのいた会社に入ったとか?」

「あ、いいえ。父のいた蓮見商事の子会社へ入れてもらったんです」

「そうだったのか」

「そうだ、お土産お渡ししてなかった。それと、留美ちゃんにお祝いを買って来たんです」

 お祝いは彼女が希望していた日本の有名キャラクターグッズだった。それとは別にお土産もご両親に手渡した。

 留美ちゃんはお祝いをその場で広げて見ながら歓声を上げている。キャラクターのペアTシャツや布バッグ、ポーチなど10種類を詰め合わせて持ってきたのだ。

「こんなにたくさんありがとう!嬉しい!これは日本じゃないと買えないんだもん」

「ねえ、それより留美ちゃんの旦那様はどこにいるの?写真見ると金髪だし、まるで絵本の王子様みたいだったよ」

「王子様?本人に言ってやったら喜ぶよ。今彼は、私の代わりにひとりで招待客のお相手をしてくれているの。それより、琴乃とふたりで先に写真を撮ろう」

 外にいた係りの人を呼んで写真を撮ってもらった。ご両親と私、留美ちゃんで並んで写真も撮ったのでお母さんに見せられそうだ。

 外に出ると、芝生のガーデンにはテントの下に長いテーブルがあり、そこに料理がすでに乗っていた。

 立食式なのだが、傘のついたテーブルがあり、食事はそこで座ってとれるようになっている。

 ボーイがシャンパンやワインなどを運んでいた。

「彼を紹介するわ」

 こちらに背中を向けて金髪の男性が黒髪の男性が話している。留美ちゃんも、私も、今日は高いヒールを履いているので、芝生に足が取られないようにお互い手を繋いで歩いていく。

『ハロルド』

 ハロルドと呼ばれた新郎が留美ちゃんを振り返って見た。すると、彼と話していた隣の男性もこちらを見た。え?!私達はお互いを見て固まった。

『ハロルド、彼女がコトノ。私の幼馴染よ』
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