彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
『おお、初めまして。今日はようこそおいでくださいました』

『初めまして。蔵原琴乃です。ご結婚おめでとうございます。留美ちゃんを幸せにしてあげて下さい』

 私は覚えてきた言葉をそのまま伝えて、すぐにハロルドさんから目を隣の男性に移した。彼も私を凝視している。

 そこには昨日会ったばかりの藤堂さんがいた。昨日もカッコよかったが、今日の彼はとんでもなく素敵だった。シルバーのスーツに磨かれた靴。白いネクタイ。髪も昨日とは違ってバックにして固めている。

「藤堂さん、どうしてここに?」

「君こそ、どうして……え、今日の予定はここだったのかい?」

「はい」

 私達はお互いが知り合いで昨日も偶然会ったことを話した。すると、ハロルドと留美ちゃんは目を合わせて笑い出した。

『玲は僕の仕事に関係していてね。日本への貿易申請などは彼を通しているからよく知った仲なんだ。留美も紹介済みだよ』

『そう。うちのパパも、もちろん彼を知っているのよ。何しろ日本の外交官だもの』

「僕も日本人コミュニティーのことを教えてもらってとても助かっているんだ」

「そうだったんですね。またお会いするとは驚きました」

 藤堂さんは苦笑いを浮かべて言った。

「二度あることは三度あるって本当だな。留美さんの幼馴染が蔵原さんだったとは驚いたよ」

 すると、玲さんは後ろから綺麗な女性客に話しかけられた。彼を待ち構えていたらしく、あっという間に女性客が彼の周りを取り囲んだ。彼はそのままどこかへ連れ去られた。

「玲はいい男だし、女性にせまられても優しく返すんだ。だからモテる。僕の友人たちは今日のパーティで女性と知り合うのを楽しみにしてきていたのに、ほとんどが玲にもっていかれるな」

「全くだわ。私の友人も藤堂さんが来るかどうかを聞いてくる人が多かった。理由はよくわかったわ」

「そうなんですね」

「今日の主役は私達なのに、玲のほうが人気だな。許しがたい……」

「モテてどうするの?あなたは私のものになったのよ」
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