彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「なるほどね。それじゃ、邪魔できないな」

「もう、やめてよ」

「あはは。でもよかった……」

「え?」

「姉ちゃん、彼氏も作らず俺のことと、母さんのことばっかだっただろ。やっと春が来たんだな。嬉しいよ」

「弦也ったら……」

「外交官ってエリートなんだろ?そんな人が姉ちゃんを選ぶんだから、弟の俺は自慢できる。姉ちゃん、またその人いつくるかわかんないし、きちんと掃除して部屋は片づけといたほうがいいぞ」

「もう、ばかねえ……」

「母さんに話すときは俺も同席してやるよ。大丈夫だって、さすがにいい歳の姉ちゃんの幸せを遮るなら俺も黙ってないからさ」

「弦也、ありがとう」

 弦也が急に大人になったようで嬉しかった。

 * * *

 次の日の夜、急にLIMEが来た。玲さんだ。今日帰国予定だったはず。

 PCでビデオ通話にしようと書いてある。そんなことになるんじゃないかと思って、今日はメイクをしたままだった。

 繋ぐと大画面いっぱいに笑顔の彼がいた。いつもよりなんだか自然体でラフな姿だ。

 やはり実家だからか、どこかくつろいで見えた。しかも初めて見る背景。彼の部屋なのかもしれない。

「琴乃、ようやく帰国したよ」

「おかえりなさい!そこって玲さんの部屋なの?」

「そうだよ。あ、いつもと違うからな」

「ええ。壁紙が薄いグリーンなのね」

「そう。あっちはブルーだったからね。琴乃、今日は化粧してるだろ?」
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