彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「もう、お母さんに聞こえるでしょ」

「ごめん、ごめん。で?海外って何?」

「最初は仕事で助けられたの。その後旅行先のイギリスで偶然二度も会って、観光につき合ってもらったの。それでそういうことに……」

「うっわあ、なにそれ?漫画みたいじゃん」

「漫画じゃないのよ、それが……」

「何してる人なんだよ?あっちで仕事してんの?」

「外交官なの」

「なんじゃそれ。すごいじゃん」

「だから、普段はメールや電話がメインだからお母さんに黙ってるの」

「なるほどね。会ったことないのか」

「会ったことはある」

「え?自己紹介してないの?」

「たまたま日本へ少しだけ帰っていた時に、夜うちに来たの。私、その日たまたま送別会で帰りが遅かったから会えなかったの。しかも黙って来て驚かせるつもりだったみたいなのよ。突然彼が来て、お母さんはお土産渡されて……驚いて不信がってた」

「はあ……なんで連絡してから来ないんだよ。馬鹿だな」

「馬鹿じゃないから……お仕事忙しくて時間取れるかわからなかったらしいの。だから……」

「なるほどね。お母さん、気づいただろ?聞かれなかったの?」

「うん。あまり深く聞かれなかった。というか、聞きたくなかったのかもしれないけど……」

「それはありうるな……で、その人今度いつ帰ってくるの?年末戻らないのかよ?」

「実は今夜帰国する。ご実家に戻ると思うけどね。私とは年明けに初詣でもしようと約束してる」
< 62 / 131 >

この作品をシェア

pagetop