片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 ――もう。事前に連絡しておいたのに。
 出迎えもなしなんて、どう言うこと?
 私はムッと唇を尖らせながら、リビングへ顔を出す。

「ちょっと! 婚約者が一緒なんだから、出迎えくらい――」

 するとそこには、2人揃って4人がけの椅子に座る両親の姿があって……。

「愛奈。そこに座れ」
「げ……っ」

 お父さんはテーブルを指先でトントン叩くと、私達に対面の席へ座るように促した。
 なんだか苛立ってるみたいで、こちらを睨みつけてくる。
 ――戸川家みたいに、数分で挨拶が終わるだろうな。
 そんなふうに楽観視している場合ではなかったようだ。

「ちょいとばし、順序が違うんじゃないかい?」
「お父さん……っ。あのね。これには、深い訳があって……」
「それを聞くために、座って話をするんだろ?」

 私はどうにか父親の怒りを鎮めようとしたが、あえなく撃沈した。

 ――あー。駄目だこりゃ。

 冷静に話ができる感じではなさそうだ。
 婚前交渉も済ませてるなんて話したら、圭信がどんな目に遭うかなどわかったものではない。

 修羅場を予期した私はこのまま逃げ帰りたい気持ちでいっぱいになった。
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