片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「す、すまない……」
「眼鏡外すと、見えないんだよね?」
「いや。この距離なら、問題ないが……」
「そうなの?」
「ああ。近視なんだ」
「近くが見えない感じ?」
「いや。遠くが見づらい」
「そっか……」

 雑談をしている間に、甘い雰囲気が霧散する。
 私はてっきり、このままキスをせずに終わるんだとばかり思っていたんだけど……。
 どうやら諦めの悪い圭信は、そう思っていなかったようだ。

「愛奈。少し付き合ってくれないか」
「いいけど……」
「眼鏡が当たらない、角度があるんだ」

 彼はそう宣言すると、さまざまな角度から口づけを試み始める。
 触れ合うだけの軽い接吻から、深くまで互いを貪り食らうようなディープキスまで。
 時折レンズを私の額をぶつけて失敗しながらも、愛を確かめ合う。

「ん……っ」

 ――くすぐったくて、心地いい。
 幸せな気持ちでいっぱいに満たされても、夫を愛していると声を大にして言う勇気はないけれど。
 私はそう遠くない未来に心の中で大輪の花を咲かせて、彼と同じかそれ以上の想いが芽生えると信じている。

「ありがとう。愛奈。僕の想いを、受け入れてくれて」
「私のほうこそ。好きになってくれて、本当にありがとう! これからも、よろしくね!」

 私達は唇を離して笑い合って思う存分抱きしめ合い、互いのぬくもりを堪能した。
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