片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「誘拐監禁事件の際、君の友人を助けられなかった。それは、申し訳ないと今でも思っている」
「あんたがどんなに謝罪をした所で、あいつの命は戻って来ないんですよ!」
「ああ、そうだ。だが、その尊い犠牲のおかげで、君達が助かったとも言える」

 刃物を振り回していた女性は、義父の言葉が理解できなかったようだ。
 再び声を荒らげそうになった瞬間を見越し、彼は続きを話す。

「彼が犯人の注意を引きつけてくれたから、私達は突入に成功した」
 なんですか、それ」
「君達は全員、あの場で命を落とすはずだったんだよ。なのに、生き残った……」
「どんな逆境でも身を挺して民間人を守り、救出するのが警察官の役目でしょ!? 美談になんて、しないでください!」

 彼女の叫びは、ご尤もだ。
 8年前の事件で、高校生が1名亡くなっているのだから。
 失われた命は元には戻らない。
 だからこそ、僕らはそれを未然に防がなければならなかった。

「そうだな。私は君に、恨まれて当然のことをした。でもな……。助けないほうが、よかったのかもしれねぇ。あの時見殺しにしてたほうがよかったなんて、言わせないでくれよ……」
< 205 / 225 >

この作品をシェア

pagetop