片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「ああ。最善は尽くしたつもりだ」
「そのうえで、罪を犯したあたし達に、生きろって言うんですね……」
「下着泥棒に銃刀法違反は、そんなに重い罪じゃねぇ。いくらでもやり直せる。どんなに苦しくてつらいことがあったとしても、亡くなった坊やの分まで、生きてほしい」

 警視総監は自身の罪から目を背けることなく、激高している女性を宥めて見せた。
 彼に発言を許されていれば、愛する妻を傷つけてただで済むと思うなと怒鳴りつけていたところだ。
 格の違いを見せつけらたような気がして、己の無力さを嘆いた。

「娘さんを傷つけようとしたあたしに、こうして寄り添ってくれるなんて思いませんでした……。今まであたしは一体、なんのために……」
「そうやって自分が冒した罪の重さに気づいて涙を流せるだけ、あんたはまだまともな部類だ。しっかり罪を償って、ほかの奴らと一緒に人生をやり直してくれ」
「はい……」

 彼は涙を流して反省した様子を見せる被疑者に向かってそう語ると、僕とともに取調室を出た。

「あー、終わった。終わった」

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