片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「僕よりも声が聞けて嬉しいと思う人物と、電話をしていたのか……?」

 呆然と声を震わせながら言葉を紡いだ相手は、その会話を盗み聞きしていた夫で――私はすぐさま、彼の勘違いに気づいて待ったをかける。

「ちょ、ちょっと待って!」
「君は酷い妻だな。夫にようやく愛を囁いたかと思えば、すぐこれだ。まさかあれは、不倫をカモフラージュするためか……?」
「私はそこまで、不誠実な女じゃないから……!」
「許さない」
「お、落ち着いて……!」

 しかし、一歩遅かったようだ。
 圭信の瞳には、嫉妬の炎が燃え盛っている。
 このままでは足腰が立たなくなるほど、抱き潰されてしまうだろう。

「愛奈は、僕の妻だ。誰にも渡すものか……!」
「ん……っ。ご、誤解だってば……!」

 危機を悟った私は慌てて画面をタップし、通話履歴を表示させる。

「み、見て!」
「言い訳は聞かない」
「これが事実だよ!」
「僕から逃げようとした、君が悪いんだろう」
「今のは、お父さんだってば!」

 夫は何がなんでも抱き潰して、不倫をしたらどうなるかわからせてやると言わんばかりの態度で追い詰めてくる。
 だが、こちらも無条件で降参するわけにはいかない。
 はっきりと大声で事実を宣言すれば、ようやく圭信が正気に戻った。
< 222 / 225 >

この作品をシェア

pagetop