片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「オトウ、サン……?」
「出るかわかんないけど、スピーカーにしてリダイアルするから! いい?」
「あ、あ……」

 彼はようやく、自分が怒り狂う必要はなかったと気づいたのだろう。
 断頭台で首が刎ねられるのを待つ罪人のような青白い顔で、呼び出し音を聞く。

『愛奈? どうした?』
「ごめんね、お父さん! 圭信が勘違いをして……」
『戸川警視が? ほーん。お熱いことで』
「大変申し訳ございません」
『仲良くやれよ』

 すると、電話を切断したばかりだからか。
 父親とはすぐに連絡がついた。
 短い間会話を済ませて通話を終えると、夫はまるでこの世の終わりみたいな顔で謝罪を始める。

「す、すまない……。僕は、なんてことを……!」
「もう、いいよ。私が好きすぎて、誰にも取られたくないから暴走しちゃったんだよね?」
「面目ない……」

 反省した様子を見せる圭信が犬であれば、今頃耳を垂れて甘えた声を出しているところだろう。
 私は気にしていないと伝えるために彼の頭を優しく撫でつけ、満面の微笑みを浮かべて告げた。
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