片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 それは、彼の身につけているTシャツだった。
 背景には古びた洋館と、中央には黄色い25という数字が大きく描かれている。
 特に特徴的だったのは、背中に黒いマントを羽織った赤い扇情的なドレスを身に纏い、口元に鋭利な牙を覗かせる吸血鬼らしき女性だ。

「イルミナティ・ガーデンで販売されていた、25周年の記念Tシャツですね」
「ここから犯人を絞り出すことは?」
「流石に難しいかと思います。1年間販売されていたようなので……」
「そうか……」

 イルミナティ・ガーデンは大型テーマパークだ。
 土産屋で通常販売されている商品の決済がクレジットカード限定ならともかく──現金でも購入可能かつ販売した枚数が膨大なため、犯人の足取りが負いきれないのは無理もなかった。

(手がかりが何もないよりはマシだが……)

 また新たな下着泥棒の被害が出るのを待つか、愛奈の自宅から採取した指紋がデータベースに登録された犯罪歴のある人間と合致した報告が鑑識からもたらされるのを待つしかない自分が、歯がゆくて仕方がなかった。
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