片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 私はこの仕事が、大好きだった。

「すいませーん」
「はい! こんにちはー」
「写真、いいですか?」
「もちろんです! カメラを……」
「いえ。お姉さんを撮影したいんです」

 家族連れの来場者から声をかけられ、手に持っていた電子機器を預かろうとしたのだが……。
 どうやら、家族写真ではなく私の着ているコスチュームを撮影したかったらしい。

「わかりました。どうぞ!」

 こうした申し出はよくあることなので、嫌がることなく率先して了承する。
 ヴァンパイアの館に務めるメイドらしく腹部で両手を組んでじっとしているだけで、勝手に写真が撮影され――満足したゲストは去って行くのだから。
 ここにやってきたゲストをアトラクションに案内するよりも、ずっと楽な仕事だった。

「ありがとうございました!」
「どういたしまして。これからもイルデンで、素敵なひとときをお楽しみくださーい!」

 家族連れを見送れば、統一感のないクルーの集団が前方から歩いてやってきた。
 あれは、夜番の従業員たちだ。

「豊臣さん。代わります」
「お疲れ! ありがとー!」

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