江戸JK

25

ポータルを渡って、朋菜達は明治時代に辿り着いた。

「ここ、江戸じゃない!全然違う!」

子供のようにはしゃぐ朋菜を、友樹が止める。

「朋菜、はしゃぎすぎだ」

「でも、ここ…、場所はどこなんだろ?」

「ここは東京でございます」

「場所は変わってないのね」

「はい。変わったのは時代のみです」

「あれ?でも東京って江戸だよな?」

「そうです。正式には東京府ですが」

すると朋菜はピンときた。

「これってもう、廃藩置県が始まってるのよね?」

「そうです。さすが朋菜様。折角ですし、いろいろ散策してみますか?」

「うん!」


@中央政府

「明治に来てから、一気に現代っぽくなったな」

「お兄ちゃん、これでもまだ近代で、現代ではないよ」

「朋菜は真面目か」

太政官三院制に変わったこともあり、朋菜にとっては政治の勉強にもなった。

正院は今でいう最高裁判所のような場所。左院と右院は省のような所らしい。

「政治の役職は薩長土肥の出身者が多いことに気付きましたか、朋菜様?」

「えっと…あ、分かった!」

「ええ。それを藩閥政府というのです」

その時、誰かが友樹に向かって走ってきた。

「何!?」

「…あ、お兄ちゃん二十歳超えてるから」

「21歳で何が悪いんだよ!」

颯が慌てて説明する。

「今は徴兵令で、友樹様のような二十歳以上の男性は3年間の兵役を課されているんです!」

「お兄ちゃん、兵隊になるの…?」

「そういう事になりますね」

すると友樹は、突然しょうゆを取り出した。

「お兄ちゃん?」

朋菜が止める前に、友樹はそのしょうゆを全て飲み干してしまった。血圧が上がって来た友樹は胸を押さえながら苦しむが、立ち上がって「このまま徴兵検査に行ってくる」と言い出した。

「これで、徴兵検査に受かることは無いだろう」

「あ、なるほど。友樹様はわざと不健康な体にして、兵士になるのを免れようとしているのですね」

「そうだ」

その時、徴兵検査担当の者が、朋菜達の所に来た。

「今から上杉友樹の徴兵検査を始める」

友樹は身体検査や健康検査、身分検査などの検査を受け、結果を待つ。

何分か経った頃、担当者は何の前触れもなく「不合格だ」と告げた。

「よっs…はい、分かりました」

これで、友樹は兵士にされることなく、今まで通り過ごせるようになった。
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