堅物マジメな御曹司は契約妻にひたすら隠した溺愛を解き放つ~円満離婚はもう無理だ~
プロローグ
――人生とはなにが起こるかわからない。
私、蓮水紫緒は二十八年間生きてきて、今日ほどこの言葉を実感した日はないだろう。
結婚願望がなければ恋人もいない。
三十代に入ったら郊外にでも中古のマンションを買ってリフォームして、寂しくなったらペットを飼い、一生ひとりで生きていこうと思っていたのに。どうやら思い通りにはいかないらしい。
「私と結婚しましょう」
初対面の美形に耳を疑う発言をされた。
白無垢を着せられた状態で求婚されれば聞き間違いだとも思えなくて、全身冷や汗をかいている。
「あの、正気ですか? まだ顔を合わせて五分も経っていませんよ?」
「はい、もちろんです」
淡々と言われるが、彼の目や声には恋に溺れるような熱はない。
もちろん私も、初対面の相手に恋愛的な感情は一切ない。
だって「はじめまして」と顔を合わせたのが結婚式の直前なんて、誰が予測できるだろう。
しかも自分が従妹の代わりに結婚する羽目になるなんて、非常識にも程がある。
「いやいや、常識的にありえないんですけど……」
頭に乗せられたかつらと白無垢が重い。その重みが、この状況が夢ではないのだと告げている。
「家同士の結婚って、今時おかしいと思いませんか? 今は令和ですよ⁉」
時代錯誤にもほどがある!
話し合えば分かり合える。そんな一縷の望みをかけて、この結婚を破談にしようと思ったのにまさか相手は乗り気だなんてどうかしている。
本当によく考え直した方がいい。
僅かな時間しか話していないのに結婚するなんて、一生を棒に振ることになる。
けれど名前しか知らない美形は、真顔で私に告げる。
「では二年後に離婚しましょうか」
「は……はい?」
まさか「結婚」と「離婚」を同時に提案されるとは思わず、私の頭は一時停止したのだった。
私、蓮水紫緒は二十八年間生きてきて、今日ほどこの言葉を実感した日はないだろう。
結婚願望がなければ恋人もいない。
三十代に入ったら郊外にでも中古のマンションを買ってリフォームして、寂しくなったらペットを飼い、一生ひとりで生きていこうと思っていたのに。どうやら思い通りにはいかないらしい。
「私と結婚しましょう」
初対面の美形に耳を疑う発言をされた。
白無垢を着せられた状態で求婚されれば聞き間違いだとも思えなくて、全身冷や汗をかいている。
「あの、正気ですか? まだ顔を合わせて五分も経っていませんよ?」
「はい、もちろんです」
淡々と言われるが、彼の目や声には恋に溺れるような熱はない。
もちろん私も、初対面の相手に恋愛的な感情は一切ない。
だって「はじめまして」と顔を合わせたのが結婚式の直前なんて、誰が予測できるだろう。
しかも自分が従妹の代わりに結婚する羽目になるなんて、非常識にも程がある。
「いやいや、常識的にありえないんですけど……」
頭に乗せられたかつらと白無垢が重い。その重みが、この状況が夢ではないのだと告げている。
「家同士の結婚って、今時おかしいと思いませんか? 今は令和ですよ⁉」
時代錯誤にもほどがある!
話し合えば分かり合える。そんな一縷の望みをかけて、この結婚を破談にしようと思ったのにまさか相手は乗り気だなんてどうかしている。
本当によく考え直した方がいい。
僅かな時間しか話していないのに結婚するなんて、一生を棒に振ることになる。
けれど名前しか知らない美形は、真顔で私に告げる。
「では二年後に離婚しましょうか」
「は……はい?」
まさか「結婚」と「離婚」を同時に提案されるとは思わず、私の頭は一時停止したのだった。
< 1 / 11 >