【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!


 夫婦になったのにさん付けっていうのも、なんか違和感があるしね……。 

「じゃあ菫花も、俺のことは眞紀人って名前で呼んで」

「わかった」
 
 眞紀人と名前で呼ぶことに少し恥ずかしさもあるけど、これからずっと一緒にいるのだから、自然とそう呼ぶ気がする。 
 
「眞紀人、お腹空いたね」

「そうだね。お腹空いたね」

「買い物して帰ろっか。 何か食べたいものある?」

 眞紀人は少し考えながら「そうだな……。じゃあ鮭のちゃんちゃん焼きがいいかな」と私に告げる。

「鮭のちゃんちゃん焼き? 魚苦手なのに、珍しいね」

「菫花の作る魚料理、美味しかったから。食べれる気がするんだ」

「わかった。 じゃあ今日の夕食は、鮭のちゃんちゃん焼きにしよっか。荷物持ち、頼まれてくれる?」

 私がそう聞くと、眞紀人は「もちろん。俺はそのためにいるからね」と冗談交じりに笑っていた。

「荷物持ちしてもらえるのは、正直助かるかな」

「菫花は妊婦さんなんだから、重いものは持ったりしたらダメだからね。 俺に任せて」

「お、頼もしいね」

 そんな眞紀人のことが、私は本当に愛おしい。 この人と出会って、本当に良かった。
 私の人生も、捨てたもんじゃないなって今なら思える。 こんな未来が来ることを、誰が予想しただろうか。

「菫花、つわり大丈夫?」

「うん、大丈夫」

「辛かったら言って」

「ありがとう」

 眞紀人の優しさに、私はいつも助けられている。 眞紀人がいなかったら、私はきっとこんなに明るくなれなかったかもしれないな。

「眞紀人、鮭が今日安いみたいだよ」

「え、ラッキーじゃん」

「本当だね。ラッキーだね」

 私たちの夫婦生活は、まだ始まったばかりだ。
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