【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!
「もしかして、ショックだった?」
「……えっ?」
眞紀人くんの思いもよらぬ言葉に、私は思わず立ち止まってしまった。
「アイツに利用されてたんでしょ?」
「……もしかして、聞いてた?」
「聞こえちゃってた。……ごめん、聞くつもりはなかったんだけど」
私は「ううん」と首を横に振ったけど、本当はそれを眞紀人くんに聞かれてたことはショックだった。
愛されてなんてないことを、知られたくはなかった。 でももう、遅い。
「単細胞なんだって……私」
「菫花さん、そんなこと気にする必要ないって」
「……でも」
眞紀人くんはそんな私を勇気付けようとしてしてくれたのか、私の目の前に顔を近付けて「菫花さん、お酒飲まない?」と言ってくれる。
「え?」
「今日はとことん飲もうよ。こういう時はさ、飲んで忘れるのが一番だよ」
眞紀人くんにそう言われたら、断ることも頭になくなる。
「うん、そうだね。 今日は飲みたい気分かな」
「じゃあ決まり。……行こ、菫花さん」
「うん」
これはきっと、眞紀人くんなりの気の遣い方だとは思う。 あんなに心をズタボロにされた私がこれ以上、傷付かないようにするための、気の遣い方。
だけどそれでも、私は嬉しかった。 眞紀人くんが隣にいるというその事実があるだけで、嬉しかったんだ。
「あのさ、眞紀人くん……」
「ん?」
「私……眞紀人くん家に行きたい」
「えっ、家?」
私は黙って頷くと、「眞紀人くんと今日は、ずっと一緒にいたいんだ。……ダメ、かな」と眞紀人くんを見上げる。
「……いや。菫花さんがいいなら、別にいいけど」
「本当? ありがとう」
眞紀人くんって、本当に優しいんだな。