【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!


 私のその問いかけに、眞紀人くんは「何を?」と見つめてくる。

「……慰めの、キス」

 眞紀人くんは私の頬に手を触れると「するよ。 菫花さんが望むのなら何度でもするよ、慰めのキス」と微笑んでくれた。

「……うん、ありがとう」

 ありがとうで合ってるのかは、わからない。 だけど少なくとも私には、それが嬉しい。

「ビール、もう一杯飲む?」
 
「うん、飲む」

 たまにはこういう日があるのも悪くない。 今日はとにかく、楽しい気がした。


✱ ✱ ✱


「えっ、キスしたー!?」

「ちょっ、声大きいっ!」

 明日那にあの日の出来事を話したら、明日那はびっくりしたのか「なになに? ちょっと、いきなり進展しすぎだって。どうしたのよ?」と驚いたような表情をしている。

「そ、そうだよね」

「いや、まあさ……恋人のフリしてる訳だし、キスすることは自然なことだと思うけどね」

 明日那はホットコーヒーを飲みながら「もしかしてだけど……偽恋人くんとした?」と聞いてくるから、私は「いや。そ、それはしてないけど……」と言い返す。

「え、してないの? キスまでしたのに?」

「うん。最後までは……してない。キスだけ」

 本当はあの日、あの後流れで眞紀人くんに押し倒された。 お互いに酔っていたということもあり、歯止めが効かなくなっていたのかもしれない。
 だけど押し倒されて眞紀人くんに見つめられてから、ふと我に返った。 恋人のフリをしているとはいえ、こんなことをしてしまっていいのだろうか……と。

「え? なんでしなかったの?すれば良かったのに」

「……冷静になって気付いたの。 恋人のフリとはいえ、このまましてしまうのは、どうなのかなって」
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