春は、香りとともに。
「……あなたの笑顔が、一番似合っています」
「それは、惟道さんが見つけてくれたからです」
そして、ふたりで手を取り、縁側へと歩いて出た。
花は散っても、光はやわらかく、空はどこまでも晴れていた。
春は、まだ終わっていない。
むしろ今、はじまったばかりだ。
「今日も朝食一緒に作りましょう。お腹空きました」
「そうですね、わたしは昨日と同じお味噌汁作ります」
惟道さんと、わたし。
これからの春を、香りとともにふたりで歩いていく。
――完――