その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
「おいおい、君の身分で“王子様”って……」

「そういうのに、女は憧れてるんですっ」

言い返しながら、またワインを一口。

喉を通った液体が熱くて、胸の奥に火をつける。

(やばい。絶対、これ、酔ってる。)

神堂先生は、呆れたように笑いながらグラスを揺らした。

「……それってさ、“人気作家”も入るの?」

「……え?」

その問いに、私はグラスを持ったままフリーズした。

神堂先生は、ワイン越しに私を見つめてくる。

まっすぐに、からかいも、探りも混ぜて。

「い、一応……人気作家だったら、お金……持ってますし……」

「そっちかい!」

思わず神堂先生が突っ込んで、私のほうが笑い出しそうになる。

(もう、なにこの空気……)

笑いながらも、私はどこかで気づいていた。

この人の前では、なんだか本音がぽろぽろ出てしまう。

“編集者”としての私じゃなくて――

“恋を知らない女”の私が、顔を出してしまっている。
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